国立公園からトラ脱走で被害拡大中・・・

みなさんこんにちは。

先日アッサム州の国立公園の話をしましたが、
今日は、12月下旬にインドの中でも
最も多くの人々が暮らしているウッタル・プラデーシュ州の
「ジム・コルベット国立公園(Jim Corbett National Park)」
から逃げ出したと見られる雌のトラがまだ捕まっていない
というニュースについてご紹介します。
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-india-25755104
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州は3名のハンターを雇い、現在も銃を構えて
トラの行方を追っていますが、いまだに捕獲されていません。
トラのものと思われる歯や爪の跡が残された、
今月7日に襲われたとみられる女性の遺体も発見され、
ここまで確認されているだけでも計7名が死亡。

ラクナウー県の森林当局は現地メディアに、
「トラも休むこと無く走り回っている状況なので、
疲れてイライラしている上に
かなり飢えていると思われる」と話しており、
付近の数千人の地元民たちは自宅から
一歩も出られない状況が続いているそうです。

闘えばライオンを負かすと言われているトラ。
雌が非常に凶暴化することも珍しくないそうですが、
野生動物保護の専門家からは「トラはお腹が空き、
本能に従って行動しているだけ。殺処分せず、
しかるべき場所に戻してあげて欲しい」
といった声もあがっているとのこと。

インドには野生のトラが1700頭生息しています。
ここ5週間で、あわせて4つの州で17名もの市民が
トラに襲撃されて死亡しています。
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世界で最もトラの野生での生息数が多いインドでは、
「人食いトラ」の恐怖と隣り合わせの生活が
どれほど恐ろしいことか、なかなか一般的に理解されません。

特に国土面積が広いインドでは、襲撃を恐れる地域は
全体で見るとほんの小さな地域でしかないためです。

被害のあったタミルナドゥのニルギリ地域では、
1週間以上も学校が休校のままですし、
この地域に住む大人たちも、仕事や日常の買い物にすら
出かけられず、情況が長引けば餓死する住民も
出るかもしれないという声も聞こえてきます。

一般的にトラは1週間に1回、大きな獲物を捕る
といわれ、それはつまりインド国内で換算すると、
1700頭の野生のトラが1年に85000もの大きな獲物を
捕らえているということになります。

人間を恐れなくなった野生のトラの恐ろしさは
想像を絶するものがあります。

実際のところ、昨年の統計では、
85人のインド人が野生のトラに襲撃され
怪我もしくは死亡したとのこと。

インドの法律では、州当局の野生保護担当が
野生のトラを「人食いトラで人間に害がある」
と認定すると、ハンターを雇うことができます。

がしかし、認定までに時間がかかり、
そうこうしているうちに、周辺住民への被害が拡大。
そのために、市民はトラを見かけると、
すぐに駆除しようとして実害のないトラでさえも
駆除されてしまうという悪循環があります。

害のあるトラとそうでないトラを見分けられるのか?

すべて害があると思うのならば、いっそのこと
諸外国のように動物保護区ではなく、
『動物園』の檻に入れてしまえばいいのに。
という声も聞こえてきそうな気がしますが・・・。

国立公園では野生保護のもとトラの数が増加。
「多すぎるトラ」の保護により、
年老いたトラや、怪我を負ったトラ、
若く、独立心に溢れて自分のテリトリーを持とうという
血気盛んなトラが群れから逸れて
保護区域を出てしまうことがあります。
このようなトラが周辺住民に危害を加えることになるのです。

12/5にカルナタカ州で捕獲されたのは
年老いた12歳のオスでした。

1/2に捕獲されたトラは怪我を負った
8歳のオスでした。

このような弱いトラは野生での生活にも
耐えられず、動物園に送るまでもなく、
通常は野生の中で自然淘汰されていくもの
だそうですが、地元民に見分けるだけの
知識がないので、見境いなくトラを捕まえて
殺す行為へと結びついてしまいます。
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自然学者等は自ら進んで人間を襲った
「人食いトラ」は積極的に排除するべきだが、
突発的に人間と出くわしてしまい、
「自己防衛のため」に人を襲ったトラは
野生動物保護の観点からも排除すべきではない。
といいます。

自然保護、野生動物保護と市民生活を
バランスよく保つ方法はまだしばらく
見つかりそうにないようです・・・。
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Jim Corbett National Park とは・・・
インドで最も歴史の古い国立公園で1936年に
ベンガルトラを保護するためにHAILEY NATIONAL PARKとして設立。
エコツーリズムで人気があり、 488種類の野生動植物に溢れる。
観光客の立ち入りが許可されているのは、全体の一部で、
そこはトラの保護区になっており、今や年間7万人以上もの訪問者を数える。

国立公園の広さは520.8平方km。標高400M-1200Mに広がる川や池、
草原や丘陵地帯に多様な野生動植物を観ることができる。
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by shigetatravels | 2014-01-21 22:02 | インドあれこれ
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